タイトルカンパニーの発行するプレリミナリー・レポート(Preliminary Title Report)の重要性
ハワイではエスクロー時にタイトルカンパニーに依頼して、土地の名義が正当か、不動産のローン残高の支払い調査などを調べます。
なぜ、タイトルカンパニーによる調査が必要なのでしょうか。
タイトルカンパニーの意味
ハワイでは王族による土地支配が受け継がれていたため、土地の取引がデータベース化されたのは1980年代以降のようです。
そのため、それ以前の取引情報には担保が曖昧でそれを調査、保証するためにタイトルカンパニーが設立されています。
タイトルサーチ(Title Search)
エスクローから依頼があると、タイトルカンパニーは、これまでの不動産の取引履歴に間違いがないかを調べます。
さらに土地の境界が正常に記されているか、それによるトラブルがこれまでにないかも調査します。
また、売り主にローンが残っていた場合はその金額まで調査します。
売り主の借金等で、その不動産が担保になっていた場合(第三者がその不動産に抵当権をつけていた等)、借金を返済し抵当権を完済(ペイオフ)しなければ、その不動産を売却することはできなくなります。
抵当やローンなどの権利関係が全てクリアになっていないと、購入後に訴訟などで、大きなトラブルに巻き込まれる恐れがあるため、タイトルサーチは買い手にとってとても重要なプロセスになります。
プレリミナリー・レポート(Preliminary Title Report)
タイトルサーチを終えるとタイトルカンパニーはプレリミナリー・レポートを発行します。 エスクローはプレリミナリー・レポートの内容を確認し、問題がないことを確認し、新しい権利書を弁護士を通して発行します。
もし、プレリミナリー・レポートに問題があった場合には、売り主にその旨を報告し、問題を解消します。もし、問題が解消できなかった場合には手付け金を含め、全額返金することができます。
プレリミナリー・レポートは絶対ではない
プレリミナリー・レポートはタイトル会社が調査したレポートで、絶対的な根拠のある書類ではありません。
万が一第三者などが所有権を主張してきた場合のために『もしレポートの中に書かれていない所有権や抵当権等、買い手に不利となる事項が将来的に判明した場合には、その損害額を保証します。』という文面の記載されたタイトル保険を、物件引渡しの直前に任意で締結し、『タイトル保険レポート(Title Insurance Report)』として発行します。
要するに、このレポートに保険をかけ、レポートに不備があった場合には保険会社がその損害を保障してくれるというシステムです。(保険により限度額あり)
まとめ
ローン会社によってはタイトル保険をかけていないと、ローンを断られるケースもあるようですので、不動産の安全を保つためには必要な手順かもしれません。
さらにタイトル保険には不動産を所有中には期限がなく、その不動産を新たな買い手に売却する際に、タイトル保険をかけていた事が不動産の信用にもなります。
このように、ハワイではエスクローとタイトルカンパニーにより取引に関するトラブルを、未然に防ぐ仕組みがあるようです。